乗鞍スカイライン、ラストランツーリング
著作・製作 TAKA2  TAKA2ってどんな人?
2002年9月22日〜26日 おおむね晴れ!


 【9月23日(月)】

 ♪ピーピロピロ〜

 携帯のアラームがなり始めた。
 暗闇に明るく点滅している携帯をわしづかみに覗き込む。

 「・・・4時か。」

 そう、できるだけ早くスタートしようとアラームをセットしていたのだった。

 とりあえず寝袋の上に座り込みしばらく宙を見上げる・・・
 布団が恋しいというか、寝袋が恋しい。

 「よっしゃ。」小さく気合を入れ、寝袋への想いを断ち切った。
 外へ出てみるとやはり真っ暗。ひんやりした空気がきもちいい。

 表に回って洗面をすませ、コーヒーを飲み干す。
便 利がいい。こんなところが、野宿に道の駅を選んだ理由だ。

 ゆっくりしている暇はないので、すぐに裏のテントに戻る。
 暗い中、整然と荷物を片付ける。

 荷物を次々とバイクに積みこみ、暖気の意味もこめてエンジンをかける。
 おお、静かだが力強い排気音、心強い。



 「さて、長い一日の始まりだ」
 颯爽とバイクにまたがる。


????


 足つきがすごくいい。

 あれ?俺、背がのびたのかな?

 ちがう、暗いのでわかりにくいが、あきらかに後輪がパンクしている。

 がーん!!!!

 時計を見ると4時30分。
 しばらく思案するが、いくら考えても良い考えは浮かばない。
 そうか、昨日路肩をたくさん走ったんであのときに何か踏んだんだな。

 いまさら後悔してもしかたがない、近場のガソリンスタンドまで押していくことにしよう。


 一晩お世話になった道の駅をちらと見て、ひたすらバイクを押す。

 しばらく押して振り返る。
 まだそこに道の駅がある。
 駐車場の端までまだいってない。

 さて、どこまでいけばガソリンスタンドはあるだろう。





     ◇ひたすら歩く◇

 30分ほど押したところにガソリンスタンドを見つけた。
 7時開店となっている。
 しかたないので7時まで待つ覚悟を決め、荷物を全部バイクから降ろす。

 ふと先を見るとそこにはローソンが。
 とりあえず、汗だくでのどが渇いた。冷たいものでも買いに行こう。

 ローソンに入りペットボトルのウーロン茶をもってカウンターのおじさんに尋ねる。
 「このへんに24時間営業のガソリンスタンドはありませんか?」

 聞くと、4キロほど先にあるらしい。

 折角早起きしたのに、ここでじっと待つのもばからしい。

 考えたあげく、そこまでバイクを押していくこととする。

 折角おろした荷物は、このままここに置いていこう、パンク修理が終わるのは6時くらいだ。終わったら取りにくればいい。




 バイクを押す、ひたすら押す。
 ばりばり伝説のひでよしを思い出す。

 もうすこし、もうすこし。

 しかし、パンクしたバイクは重たい。

 遠くに「24」と示された看板が見える。目的のガソリンスタンドだ。

 しかし・・・ちょっとまて。様子がおかしい。

 何がって? 暗いのだ。明かりが付いていない。

 やっとスタンドに到着する。看板には「月〜土曜 24時間営業」と書いてある。
 今日は・・月曜だ・・が、日曜夜から月曜朝まで閉まるらしい。

 月曜は・・・7時開店と書いてある。

 疲れた。報われないと思ったとたんに全身から力がぬけていく。

 情けないがどうしようもない。ここで開店を待つとしよう。

 しかし、おいて来た荷物はどうする?
 むこうのスタンドも7時開店だ、スタンドのど真ん中に荷物をおいて来ている。

 こういう時はあきらめが肝心と、バイクをそのスタンドに置き、
 今バイクを押してきた道を荷物を取りに引き返すのでした。



鉄板がささってました(ToT)

 汗びっしょりになって、重すぎる荷物を持ってきたころには、そろそろ回りも明るくなってきたころ。時間にすると6時30分くらいだったかな。

 しばらくは、犬のお散歩や、新聞配達のおっちゃんとの雑談、それにジョギングのおばちゃんたちと軽くお話をし、「かんばってね」とのあたたかい言葉をかけていただいた。

 日も完全に上がったころ、やっとスタンドがオープン。

 二箇所パンクしていたが、修理そのものは5分ほど、消費税こみ2,100円であっさりと解決した。

 スタンドのおっちゃんも今回の行程を聞いて驚いていた。
 「気をつけて行ってくださいね」
 ありがたい、皆がやさしく声をかけてくれる。





     ◇はじめての鳥取砂丘◇

 さて、すでに7時過ぎである。やっと、やっと2日目スタートだ!



 9号線を真っ直ぐ走る。
 朝日がきらきらと海岸線で光り、きもちがいい。

 やっと走り出した私のバイク、まともに走るということはどんなにすばらしいことだろう。


多分本当は見所いっぱいな所なんでしょう。

 さて、今日、立ち寄ってみようと思っているスポットは4つある。
 それは、鳥取砂丘・京都の清水寺・琵琶湖・草津温泉だが、その中でもいちばん興味のないスポットが鳥取砂丘だ。

 興味はないのだが、折角近くに来たし、荷物やタイヤの状態も気になるので、早めの休憩ということで鳥取砂丘に立ち寄ることとする。

 国道9号から看板にしたがって左折すると、すぐに駐車場がある。

 もう8時すぎたあたりだが、やっとお土産屋が開きはじめたころであり、観光客もほとんど居ない状態だ。

 バイクを止め、海岸のほうへ歩いてみる。
 すぐに砂浜が広がる。海まで3〜400mというところだろうか、確かに雄大ではある。

 うーん、しかしだ、正直に言うと、ただのでかい砂浜だ、あまり面白みはない。

 本当はまだ奥まで見所が広がっていそうだが、今は早く走り出したい。

 三脚を取り出し記念写真を撮影すると、早々に砂丘から走り出すこととした。




     ◇快走R9!◇


「またねずみ取りだ・・」
これで2度目だ。今日は取り締まりが多い。

今は秋の交通安全週間。私もそこそこのペースで走っているので注意注意!

9号線も海沿いを離れてすでに数時間経過した。今は山間部を走っている。
ちょうどいい広さでちょうどいい交通量、それとちょうどいい気候だ。
周りの山々も変化があって美しい。

途中、たくさんのゲレンデの看板が並んでいる。
なるほど、冬はこのあたりは賑わうのだろう。
雪景色の山々を想像してみたりする。

さて、和歌山町を過ぎ、福知山を抜け、9号線をひたすら走るといよいよ京都に突入する。
時間はそろそろ12時だ、お昼ご飯をどうするか考えよう。

見るとマクドナルドがある。
あまり好きではないのだが、こういうのも一興だ、ハンバーガーを購入した。

考えてみると鳥取砂丘からノンストップだ。ここで食べようかとも考えたのだが、
すこし景色のいいところで食べたほうが楽しいだろう。とりあえずバリューセットをバックにつめてすぐに走り出す。

しかしこれが失敗だった。

すぐに道路は大渋滞となり、都会の町並みにゆっくり昼食のできそうな落ち着いた場所はみつからない。

「折角だから、もう少し落ち着いた場所で食事を・・」そう思いながらどんどん先にすすんでいく。

まあ、最悪の時は清水寺でマックをほおばることとしよう。
これがまたとんでもない計算違い。

一時間ほどで清水寺に到着したが、そこは史上最悪のすしづめ渋滞!
道路整理の警察官が半狂乱になって車に叫んでいる。

もう一目みてげんなりとなる。
しかも暑い!

こんなところにとまってられない、さっさと通過することとした。


国道一号線を走り、結局ノンストップで草津に行くが、ここも車が多い、止まる気になれずにそのまま通過する。

途中から国道8号線に移り、国道21号線をしばらく走ったところで道の駅にすべりこむ。
鳥取砂丘依頼のまともな休憩だ。

早速マックをほおばり、地図を確認する。

うん、先を急いだ甲斐があって、今日中に高山までいけそうな雰囲気である。

関が原を抜け、大垣に入った。ここでちょっとトラブル!

いきなりだれかが背中を叩いた気がした・・・・と思ったら、ゴムひもが切れました。

早速、大垣のディスカウントストアに入り、ゴムひもをGET!また旅を続けることに。

さて、岐阜駅までやってきて国道256号線に入ろうとしたのだが、あれ!道がわからん!
駅前を2〜3周して、やっぱりわからん。

うーん、こんなところでぐずぐずはできん!ちゃんと地図を見ようと道路わきにバイクを止め、
地図を開くが、えーっと、ここはどこだぁ?

仕方ない、GPS携帯の出番かな・・なんて思っていると、
前から走ってきたBMが私をじろじろっと見ると、くるりと向きを変えて近寄ってきた。

大柄な男の後ろには小さな女の子が乗っている。

そのBMは横に止まるとシールドを開け、
「アナタ、ドコ、イク?」

へ?

見ると青い眼の外人さんじゃないっすかー

地図を見せて、国道256に行きたいと説明すると、「あーサーティーワンのとこだ!」と女の子。

「ワカッタ、アー、ンー」

どう説明したものかと悩んでいる様子。

「ワカリニクイカラ、ハシマデツレテイク、ウシロツイテキテ」

え、そんないいんですか?

「ダイジョウブ、ゼンゼン、シンパイナイ」

早速後ろを付いていくことに。

うん、うまい!重いBMをまるでスクーターのようにひらりひらりと走り回る。
よく見ると、特別女の子がちいさいわけではない。男の背が高いのだ。

しかし、かなり走りましたねー15分くらい?これじゃあ、案内してもらわないと絶対わからん!

長良橋の前まで案内していただき「256ハ、イイミチヨ、タノシンデネ」と。
うーん、かっこいい!かっこよすぎる!

信号待ちで名刺だけ手渡し、分かれました。

カッコイイ外人さん。名前も聞きませんでしたがありがとうございました。
ちなみにタトゥーもかっこよかったっすよ!




    ◇R256ばんざーい!◇


あなたならどう攻める〜♪

 さて、R256をしばらく流す。
 外人さんがいい道と言っていたので、実はばりばりのコーナーを期待していたのだが、(外人さんの走りを見ていると、そういう気になる。)ぜんぜんおだやか、ちょい拍子抜けである。

 まあ、たしかにいい道だし、景色も楽しめる。
 こんなもんかなーと思っていると・・・・

 はいっ!だんだん来ました!

 

おおお〜(悦)

 2時間も走ると少しづつ道が狭くなり、周りにはバンガローとかキャンプ場とか、そんな看板が目立ちはじめます。

 岩のごろごろした川沿いを快適に飛ばし、途中から峠越えで右折をすると・・・

 おおっ!そこはワンダーランド!


 もー我が家にも一本ほしいっ(意味不明)ってなコーナーが延々と続くではないか。
途中何台かのバイクに追いつくが、もう挨拶している余裕もなし!
 すいませんね、とっととかっとんで行ってしまって。(笑)

 30分ほどワンダーランドを楽しんで、峠を越えると、ちょい大きな道路にぶつかる。

 左折してすぐのレストラン(お土産屋)で約2分休憩したのち、またすぐに走り出す。
そう、高山までもうすぐだ。









    ◇夜の峠にびびりまくる◇

 高速の横をすこし平走したのち、R472に入る。
 そろそろ暗くなってきた。暗い峠はちょっとさびしい。

 飛騨せせらぎ街道で雨というかみぞれみたいなつめたーいのが降ってくる。
 前も後ろもだれもいない、知らない峠で雨に降られるのは寂しい、いや、恐い。
 1時間ほど走っただろうか、すごく長く感じた。

 やっと峠を下り、R41に入る。高山市内に入り、雨をやりすごすためにGASTにはいることとした。

 GASTには私と同じ「本日やどなしライダー」が同じように雨宿りしていた。

 少し話しをし、いっしょに野宿しようと誘うが、丁重に断られる(笑)

 さて、ハンバーグセットを食べ、コーヒーとスープをたらふく飲んだころ、雨もとりあえず上がった。

 やどなしライダーと挨拶を交わして、ネオンの町を後にした。

 近くのコンビニで明日用のおにぎりを購入。
 たぶんこの先にはコンビニなんかないだろう。

 時間は22時、ガソリンを満タンにし、R361へ向かう。
 一応国道なので、多少にぎやかなところを期待していたが、バイクの進む先には真っ黒な山の影しかみえない。
 もちろん明かりなどひとつも見えない。

 これはそうとう恐い。コーナーもなかなかのものだったが、それを楽しむ余裕はない。

 前にも後ろにもまったく明かりがない。
 多分、半径20Kmに明かりはないだろう。

 とにかく「ぜったい何かが出そう」な道だ。後ろを振り返れない。


 ふと思った。

 今、幽霊に遭遇したとしよう。

 「出たー!」とさけびながら、ハングオンをきめてコーナーを脱兎のごとくかけぬけていっても、
 人がいそうなところまで30分はかかる。

 こうなると、もうあきらめの境地だ。

大きな声で歌をうたいながら、前だけ見て(横見ると、見てはいけないものが見えてしまいそう)走ることとした。



ふと大事なことを思い出した。
さて、今日はどこで泊まる?(笑)。






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